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京表具


京表具 弘誠堂 三代目表具師 田中健太郎氏 と 株式会社百年匠人 代表 許山 寅

 

日本の美意識を極限まで追求した伝統工芸「京表具」

1200年という悠久の時を都であり続けた京都。
その歴史はまた、日本美術と文化の歴史であり、真に傑作と言える絵画、 書を彩り続けた表具師たちの歴史でもあります。
京表具は、その長い歴史、古の都に活躍した匠の技と伝統を今に伝え、日本の美意識を極限まで追求した伝統工芸と言えるでしょう。
西洋の美術が額縁によってその真価を発揮するように、日本美術は表具によって「見られる」ための生命を吹き込まれ、 ひとつの芸術作品として完成するのです。
古来、京の絵師や書家は、己の作品を最大限に引き立たせるため、その表装を名のある表具師に託したと言います。 それもそのはずで、表具の良し悪しによって、美術作品は生かされも殺されもする… からこそ、美術と文化の都であった京の表具師たちには、最高水準の美的感覚と技術が要求され、互いに切磋琢磨し、 の歴史の中で「京表具」というひとつの確固たる地位を獲得したのです。

京表具とは?

京表具(きょうひょうぐ)は、京都府内で作られている表具です。鑑賞や保存を目的として書・絵画などを紙や布で補強し、装飾を施して仕立てる伝統技術を「表具(ひょうぐ)」または「表装(ひょうそう)」と呼びます。
京表具には、代表的な掛軸(かけじく)のほかにも額装(がくそう)・屏風(びょうぶ)・巻物(まきもの)・襖(ふすま)・衝立(ついたて)などがあります。掛軸や額装は和室の装飾に使われ、屏風や襖、衝立は部屋の仕切りや目隠し用などに使われることが一般的です。
京表具の特徴は、京都の長い歴史の中で成熟してきた上品な趣です。都として栄えた京都には、宮中をはじめ茶道の各家元や寺社など表具の需要が多く、上質な材料を調達できる環境にも恵まれていました。また、美意識の高い多くの文化人たちの目に育まれて、その芸術性が洗練されたといわれています。
機能性にも優れており、掛軸などは巻いて保存ができるため、場所を取ることもなく持ち歩きにも便利です。襖や屏風は鑑賞のみならず、防風や防寒のために利用できるため実用性にも長けています。

History / 歴史

京表具(きょうひょうぐ)の歴史は古く、始まりは平安時代といわれています。中国から仏教の伝来とともに伝わったため、当時は経文を書いた巻物である経巻(きょうかん)に施されました。また、仏教の普及にともない、仏画像を礼拝するために始められたものが掛軸(かけじく)などの原形とされています。
表具(ひょうぐ)は表装(ひょうそう)とも呼ばれ、政治や文化の中心であり宗教も盛んであった京都の歴史とともに発展してきました。高湿度で寒暖の差が激しく風が少ない京都の風土が、京表具の製作に適していたこともその発展を促進したといわれています。
床の間ができて絵画が普及したことにより、書画に合わせて表装が施されるようになりました。室町時代から江戸時代にかけては茶道が盛んになり、特有の品格が備わった表具が生み出されます。
その後、洗練された趣をもつ高級表具としてその名が知られるようになり、1997年(平成9年)には「伝統的工芸品」に指定されました。現在も実用品、美術工芸品、そして古美術の修復分野に至るまで、腕利きの職人が伝統的で優れた技を発揮しています。

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